なぜ社内表彰がいらないと言われしまうのか?成功事例を交えて運用のポイントを紹介

社内表彰にはモチベーション向上や離職率改善、生産性向上などの効果が期待できます。しかし、制度設計や運用の仕方を誤ると成果につながらず、逆効果になる危険性もあります。実際、社内表彰制度を導入してみたものの、従業員などから「社内表彰はいらない」という声が上がる結果になってしまう例は少なくありません。

今回は、社内表彰の目的をあらためて確認した上で、社内表彰がいらないと思われてしまう要因や社内表彰を効果的に実施するためのポイントなどを解説していきます。

社内表彰制度の目的

目的は従業員の努力や成果を表立って評価し、表彰という形で報いることで、仕事に対するモチベーションを組織レベルで向上が期待できることだと考えられます。

組織レベルでモチベーションが高まれば、業務に自主的・積極的な態度で取り組む従業員が増え、生産性が向上します。従業員の多くが仕事に意欲・やりがいを感じるようになり、職場の人間関係やコミュニケーションにもよい影響がもたらされて、定着率向上につながります。

社内表彰制度がいらないと思われてしまう理由

社内表彰制度の目的を達成するためには、従業員の間に「努力すれば・成果を出せば社内表彰で報われる」という認識が広まる必要があります。言い換えれば、制度に対する納得感や公平感が広く共有されなければなりません。

納得感・公平感がない社内表彰制度ではモチベーションが向上しないばかりか、かえって低下することもあります。その結果、従業員にとっても会社にとっても「社内表彰はいらない」という結果になってしまいます。

従業員から見て表彰制度が形だけのものとなっていたり、表彰の基準に不明確さや偏りがあったり、制度運用が一方的・おざなりだったりすると、納得感・公平感が生まれません。

具体的には、以下のような点が社内表彰制度の失敗要因として挙げられます。

表彰基準が不明確で、結果を納得しづらく目標も抱きにくい

表彰の選考基準が明確に設定されていなかったり社内に周知されていなかったりすると、従業員が表彰結果を納得しづらく、「なぜあの人が表彰されて自分は表彰されないのか」という不信感が生じがちです。表彰された当人もどこを評価されたのかわからず、モチベーション向上につながらないことがあります。

また、どのように努力すれば表彰されるか不明なので、従業員が具体的な目標を抱けず、「表彰は会社が決めることだから自分には関係がない」という認識が広まってしまいます。

表彰の選考基準・選考方法に問題があり、表彰対象が偏る

表彰の基準が設定されずに担当者の主観に委ねられていたり、一方的な運用が許されていたりすると、受賞者に偏りが生じて従業員の間に不公平感が広がる結果になりがちです。例えば、売上に直結するような目立つ業績を上げた従業員ばかり選出されたり、明らかに派閥や縁故を考慮したと思われる表彰が相次いだりするケースが典型的です。

表彰の基準そのものが不公平であったり、特定少数の従業員に表彰が集中する仕組みになっていたりするのも問題です。例えば、多数の非正規雇用従業員の働きで業務が成り立っている会社で表彰対象を正社員のみとしてしまうと、生産性低下や離職率上昇を引き起こしてしまう恐れがあります。

また、表彰制度が業績に関する賞だけで構成されている場合、一つひとつの選考基準は公平でも表彰対象には仕組み上偏りが生じます。受賞者が毎回同じような顔ぶれになる一方で、どう頑張っても表彰されにくい従業員が大量に生じ、大半の従業員にとっては表彰制度が「自分とは無関係なもの」になってしまいます。

従業員にとってメリットが感じられない

表彰を受ける側にはっきりしたメリットがなければ、表彰制度は形だけ・言葉だけのものに終わってしまいます。以下のようなケースが典型的です。

  • 表彰とともに付与される特典・副賞の内容に魅力がない
  • 受賞者を称えるようなコミュニケーション・雰囲気が社内に欠けており、表彰式も形ばかりのもので、表彰する側(経営陣・表彰担当者)に熱意がない
  • 表彰制度と人事制度が完全に切り離されており、表彰を受けても待遇向上につながらない

社内表彰制度を効果的に実施するためのポイント

「社内表彰はいらない」と言われてしまうような事態を回避し、効果的な社内表彰制度を設計・運用するためのポイントをまとめます。

表彰の選考基準や運用ルールを明確にする

結果の納得感や受賞を目指す意欲を引き出すためには、表彰の選考基準を明確にし、社内に周知することが必要です。

一方的な運用や制度の形骸化を防ぐため、明確な運用ルールを制定して社内浸透を図ることも重要です。

選考基準・運用ルールは現場の実態に則したものとし、運用ための時間・リソースの面も含め、現場へのノルマ押し付けのような形にならないように配慮する必要があります。

表彰対象の偏りに注意して賞を設定する

幅広い従業員からモチベーションを引き出すため、数値化しやすい業績だけでなくさまざまな要素に光を当てて表彰内容を考え、公平な選考基準を設けることが必要です。雇用形態で対象者を絞ることは基本的に避けた方がよいでしょう。

他社の社内表彰制度を幅広くリサーチして自社にあった取り組みを探し、それを参考にして制度を組み立てるのが効率的です。実際に運用されている取り組みとネーミングの例を挙げておきます。

表彰の取り組み

ネーミング例

一定の勤続年数に達した従業員を表彰

・連続勤務表彰
・永年勤続表彰

成果を数値化しにくい従業員を表彰

・奨励賞
・努力賞

日頃から行動指針やバリューに沿った行動への表彰

・バリュー賞

気遣いや、コミュニケーションで職場環境に向上に貢献している従業員への表彰

・グッドジョブ賞
・ベストスマイル賞

チームとしての働きを表彰

・チーム賞

大きな失敗に終わったチャレンジを表彰

・大失敗賞

社員主導で制度を運用する

納得感・公平感を引き出す上で、従業員主導の制度にすることも非常に効果的です。例えば以下のような取り組みがあげられます。

  • 社内アンケートなどによる投票で受賞者や候補者を決める
  • 表彰の選考や運用管理を担当する委員会を作り、各部署の従業員も委員として採用する
  • ピアボーナス制度で受け取ったサンクスカードやポイントを一定期間で集計し、上位者を表彰

従業員にとって魅力のある特典・副賞を設定し、定期的に見直しをする

表彰制度を従業員にとってメリットのあるものとするためには、表彰ともに付与する特典・副賞を魅力的な内容にする必要があります。

他社の取り組みや消費トレンドなどをリサーチし、従業員の年齢層なども考慮して特典・副賞を設定し、社内アンケートなどで従業員の反応を把握しながら定期的に内容の見直しをすると効果的です。

社内表彰の特典・副賞としては、「実用性のある記念品」「金一封」「カタログギフト・商品券・旅行券」「休暇」などが代表的です。受賞を昇給・昇格の判断基準のひとつに加えるという措置も、一種の特典・副賞といえます。

社内表彰制度を運用に成功している事例

オリジナルの社内制度を手軽に作成できるDXツール「TUNAG(ツナグ)」を導入し、効果的な社内表彰制度の運用を実現している企業の事例を紹介します。

コツコツ頑張る人を称賛し離職率を改善(葵企業株式会社様の事例)

葵企業様は、冷凍食品の荷扱い業務(冷凍倉庫内の入出庫・仕分け・検品・在庫管理など)を通して、食品メーカーと消費者を結ぶ物流事業を展開されています。

関東を中心に30以上の拠点を有していることから、本社・現場間や拠点間の情報共有にタイムラグや温度差が生じやすく、現場同士の集まりも途絶えがちとなっていました。そうした状況から、若手社員を中心に離職率が上昇するという問題に直面することになりました。

葵企業様は、拠点を超えたコミュニケーションや離職防止を推進するため、現場でコツコツ頑張っている従業員を従業員同士で報告・称賛しあう「スマイルリポート」という取り組みを以前から紙媒体で実施していました。この取り組みをデジタルツール導入でより効果的なものとすることで、拠点間コミュニケーションと離職率の改善が実現できると考え、TUNAGを導入しました。

「スマイルリポート」をTUNAG上で運用し、全従業員に向けてリアルタイムで発信するともに、「スマイルリポート」で報告された取り組みのなかでとくに優れているものを「MVP」として表彰する制度を実施しました。

その結果、拠点を超えたコミュニケーションや称賛し合う文化が促進されています。

事例記事はこちら>>「コツコツ頑張る人をきちんと称賛」拠点の多い倉庫業で全社員への発信手段を整えた、葵企業のデジタル化事例

店舗で働く社員の良さや活躍を可視化し表彰(株式会社ウインナー美容室様の事例)

ウインナー美容室様は愛知県名古屋市に本店を構え、県内に美容室を4店舗展開されています。創業は1946年で、時代を超えて通用する本物の技術力とトレンド性を兼ね備えた美容室として、幅広い層からの支持を集めてこられました。

トップからの情報発信や店舗日報送信・マニュアル配信などの情報共有を以前はチャットツールで行っていましたが、情報発信が一方通行になりがちな点や、忙しい現場業務のなかで情報確認の抜け漏れが発生しがちな点や、称賛しあう文化を推進するため「ありがとうカード」を紙媒体で設けていましたが店舗をまたいだ送りあいが課題となっていました。

そこで、情報共有を双方向かつリアルタイムなものとし、店舗間コミュニケーションを活発化する目的で、TUNAGを導入しました。

情報共有をTUNAGに一元化したことで従業員側からの発信も活発になり、店舗を越えた「ありがとうカード」の送りあいや他の従業員の投稿に対するリアクションも盛んに行われ、店舗間コミュニケーションが活性化しました。

こうした取り組みが、称賛し合う文化のさらなる推進やモチベーションの向上につながっています。

事例記事はこちら>>店舗が離れていても情報はタイムリーに共有、意見を出し合える環境を大切にする - ウインナー美容室のTUNAG活用事例

受賞者の受賞理由や選ばれなかった社員への推薦文でモチベーション向上(コクー株式会社様の事例)

コクー様は、ITインフラ構築・事務DX・デジタルマーケティングの人材派遣サービスやRPAなどの事業を展開されています。

従業員の多くが派遣先の企業に常駐してサービスを提供するビジネスモデルであるため、横のつながり・コミュニケーションや会社への帰属意識が希薄になりがちであるという課題があり、だからこそ横のつながりやチームとしての切磋琢磨を重視して事業を展開されてきました。

そこであらためてコミュニケーションの重要さを認識し、コミュニケーション活性化のためにTUNAGの導入を決断されました。

コクー様はアメーバ経営を行なっているため、TUNAG導入後はアメーバごとにTUNAG上で毎月会合を開き、サンクスカードを送りあったり、各アメーバのリーダーが社内表彰の候補者を推薦したりしています。

社内表彰では受賞者の名前だけでなく、受賞の理由や、落選した従業員への推薦文(アメーバリーダーが候補者推薦にあたり作成したもの)もTUNAG上で公表しています。

これにより、表彰された従業員も推薦されて落選した従業員も、明確なモチベーションアップの動機が得られます。それ以外の従業員もどう頑張れば評価されるのか把握できるため、組織全体にモチベーション向上効果がもたらされています。

事例記事はこちら>>客先常駐で離れていても、”体温のあるコミュニケーション” で社員が切磋琢磨し合う会社へ - コクー株式会社のTUNAG活用事例

称賛の輪を広げ、社内表彰制度を定着させるTUNAG(ツナグ)

社内表彰の仕組みを構築し、円滑に運用していく上で、「TUNAG」のようなコミュニケーションツールの導入は大きな力とります。TUNAGは会社に貢献する活躍をした従業員を称賛したり、社内に広く周知したりすることが可能です。さらにサンクスカードを経営理念や行動指針と紐付けて運用することで、理念浸透にもつながります。

TUNAGは社用PCや法人メールアドレスが不要で、スマホから簡単に利用できるので、職種や雇用形態を問わずすべての従業員の皆様にご利用いただけます。

上記に関心をお持ちの方は、TUNAGの概要が3分でわかる資料をご用意しておりますので、お気軽にご覧ください。

まとめ | 社内表彰制度を効果的に実施するためには

社内表彰制度を導入したものの望ましい成果が出ず、制度がかえって煩わしい存在となってしまい、「社内表彰はいらない」という声が社内から上がる結果に終わる例は少なくありません。

そうした結果になる原因は、表彰基準の不明確さや、一方的な制度運用が見受けられる場合があります。

社内表彰を効果的なものとするためには、表彰の選考基準を明確で公平なものとし、目立ちやすい業績だけでなく従業員のさまざまな働きを幅広く評価できる仕組みを構築する必要があります。従業員同士の評価を表彰に反映させる仕組みを取り入れることも非常に効果的です。

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