【事例あり】店舗運営を効率化するためには?具体的な取り組みを解説
「店舗への指示が現場の従業員にまで伝わっているか分からない…」
「事務作業に追われて、新人教育や良い雰囲気の店舗づくりにまで手が回っていない…」
店舗数が増えた本部や従業員数が増えた店舗では、上記のようなお悩みを日常業務の中で感じ、店舗を効率的に運営する方法を考え始めるのではないでしょうか。その一方で、店舗運営を効率化しようにも何から手を付けていいのか分からず、組織課題に合わない方法をとってしまうおそれもあります。
店舗運営を上手に効率化することで、無駄な作業が減り、複数店舗の品質のバラツキも少なくなり、教育も均等に行うことが可能です。そこで、本記事では店舗運営の効率化を図るために手法や考え方、成功事例も含めて具体的な取り組みを解説していきます。
店舗運営の効率化でつまずきやすい点
店舗運営の効率化でつまずきやすい点をみていきましょう。
店舗業務内容が多岐に渡り、どこから手をつけるべきか分からない
日々の業務に追われており、店長などの責任者は店舗業務内容が多岐に渡るため、なかなか時間を空けることが難しいものと考えられます。
人手不足の影響もありますが、責任者が接客や調理、販売などのメイン業務を担当していると、シフト管理や在庫管理、売上管理といった管理業務にまで手が回りません。
ただし、店舗業務内容によって、優先順位が異なります。まずはすぐに必要な業務と後でも構わない業務を分けておき、作業内容に優先順位を付けるようにしましょう。
店舗ごとにオペレーションにバラツキがある
店舗ごとにオペレーションにバラツキがあるケースでは、各店舗で独自のやり方が定着していて、全社的な施策がなかなか浸透しない可能性があります。例えばツールなどを導入したとしても、店舗ごとにやり方が違っていると、使われないもしくは使われるまで時間がかかるでしょう。
このような場合は、まずは各店舗の状況を臨店や店長会議で確認し、現在の施策やオペレーションが根付いているかを確認しましょう。新しく効率化の施策を行う前に、まずは店舗の管理体制を整備することが重要です。
店舗運営を効率化するための4つの視点
店舗運営の効率化にはECRS(改善の4原則)を用います。日本能率協会コンサルティングによると、ECRSは「Eliminate(排除)」「Combine(結合と分離)」「Rearrange(入替えと代替)」「Simplify(簡素化)」の4つの英文から頭文字をとっています。
これは改善の効果が大きくなり、トラブルも最小限に抑えることにつながります。
店舗運営に影響の少ない仕事を減らす
店舗運営には長年の習慣など、実際の売り上げや利益には直結しない作業が含まれているものです。過剰なまでの日報記入、長い朝礼、現場からすると必要ない業務は排除しても構いません。
掃除など店舗運営に必要なQSCに関わる部分は継続すべきです。しかし必要以上に細かく日報に記入することなど、目的とずれた業務はなくすことを検討するようにしましょう。
統合できる仕事はまとめ、分割すべき仕事は分ける
従業員によって得意・不得意はあるものの、仕事を細分化しすぎるとマネジメントが大変になり、まとめすぎると対応の抜け漏れの発生につながります。現在行われている業務を見直すことで、業務の無駄が省かれ、店舗運営の効率化が期待できます。
例えば飲食店ではキッチンとホールが完全に分離していることもあれば、これらは店舗の規模や従業員数によって異なるものです。現在の業務を内容を検討し、統合や分割を適切に行うことで生産性の向上が期待できます。
業務フローを見直す
多くの店舗では月末に人件費管理や売上管理をまとめていることがあります。日々の進捗管理ができていない場合があるからであり、そうなると月末にとてつもない量の仕事をこなす必要があるので、家に帰れないという責任者もいるものです。
これらの作業は報告用にまとめているからであり、実際に毎日管理していれば、月末には自然と報告できる資料が揃っていますし、早めの対策を打ち出すことが可能です。
日々の業務フローを見直すことで、タイムリーな施策を打ち出すこともできますし、店舗の実情をその時点で判断できるようになります。
煩雑になっている業務をシンプルにする
業務が煩雑になると、効率が低下じ情報不足や適応不足になることが考えられます。タスクが複雑で混乱しやすい状況では、ミスをしやすくなります。
これは品質低下や顧客満足度の低下につながる可能性があります。だからこそ業務をシンプルにし、スタッフが働きやすい環境を作ることが重要です。
店舗運営を効率化する具体的な取り組み
店舗運営を効率化するための具体的な取り組みを解説していきます。
本部からの業務指示、店舗でのタスク対応の一斉伝達
店舗の責任者としてあるあるですが、本部から届く資料や業務指示というのは膨大であり、店長の負担が大きいものです。
店長は日々の業務もあるので忙しく、本部も店長や責任者が把握したのか指示が徹底できているかどうかは判断できません。
しかし、これらをアプリで一斉伝達することができれば、「店長や責任者向け」「社員向け」「全従業員向け」という風に分けることが可能です。
地域限定の場合は該当エリアのみに配信することも可能となります。必要な情報を必要な人にだけ送信できますし、タスク管理機能があれば進捗確認も容易となります。これらは伝え漏れや確認漏れを防ぐ効果があります。
連絡手段の統一
店舗運営では本部からの指示も一様ではありません。日々の業務で忙しいため、本部からの連絡の返答期限を忘れてしまうことも珍しくないでしょう。
これらはスマホやパソコンで一括管理できる仕組みがあれば忘れることはありませんし、どこまで進捗が進んでいるかも一目瞭然です。
メールで返信する場合は「お世話になっております」「お疲れ様です」「ご確認お願い致します」などの定型文をわざわざ手打ちしていますが、タスク管理だと完了報告をクリック(タップ)するだけで完了します。
SV・エリアマネージャーの臨店時間の短縮
店舗にはSVやエリアマネージャーが臨店する企業も少なくありません。頻繁に臨店するようでは往復の移動時間もかかりますし、交通費もムダに計上してしまいます。
そこで、店舗スタッフがスマホやタブレットなどの端末から写真・動画を撮影し、アプリから報告することで、SVやエリアマネージャーがすぐに確認することができます。
お店の状態をチェックするだけでなく、店舗からの相談も写真や動画を交えてだと電話よりも分かりやすくなります。
店舗への指示もコメントを追加するだけでいいので、必要なときにだけ臨店すればよくなります。これによってSVやエリアマネージャーが本来の業務に時間をかけることができるので、よりよい施策を講じることが可能となるでしょう。
アルバイトや社員の採用に伴う入社手続きのデジタル化
本部と離れているの店舗は、必要書類を送付しなければなりませんが、この際に不備があると、再度やり直しになり多くの時間がかかります。
これらを入社する本人がマイナンバーや基礎年金番号をアプリで入力し、そのまま提出することで本部もすぐに確認することができます。
どこに不備があるのかコメントを付けられると両者に分かりやすく、だれでも簡単に手続き可能です。なによりも店長の負担が軽減されるので、店舗運営に専念できます。
教育・育成のマニュアルの一覧化
店舗では人材教育に時間をかけられないことも多々あります。普段からマニュアル化されていない業務もありますし、マニュアル通りに教育を実施していない場合もあります。
属人化されていると、本部から伝達された変更内容の際にも修正するだけでよくなり社員やスタッフの工数が削減されます。加えて、業務内容の動画などを配信することで店舗間の統一化もしやすくなります。
また動画マニュアルの視聴履歴を本部が把握することで現場の習熟度が分かるので、店舗ごとの教育効果の差を把握し、さらなる標準化に役立てられます。
店舗運営の効率化に成功した事例
店舗運営の効率化とはいえ、どのように取り組めばいいのか分からないこともあるものです。ここでは、店舗運営の効率化で実際に成功した事例を紹介します。
【小売】スマホアプリでタスクの進捗管理を推進
株式会社ハンズ様は、日用品や生活雑貨など暮らしに役立つさまざまな種類の豊富な商品を揃えている「ハンズ」、生活に密着した日常生活にプラスアルファとなる商品を提供する「ハンズビー」、地域密着型の店舗を運営する「プラグスマーケット」を国内外に展開しています。
従業員も多く、すべて店舗スタッフが仕事でパソコンを使っている訳ではありません。事務所のパソコンの使用待ちなどで、タイムリーな情報が届かないこともあり、本部からのタスクがどこまで浸透しているのか、進捗はどこまで進んでいるのかが分からないという課題を抱えていました。
従業員がスマホで情報を簡単に見られる形にしたいと考え、TUNAGを導入しました。
TUNAGではタスクの進捗管理や情報の一斉伝達を実現しています。タスク依頼機能を使って、本部のバイヤーやディストリビューターから店舗スタッフに向けてタスクを依頼し、タスクを受けた従業員が対応できる形になっています。タスク完了の報告もアプリ上で行えるので、離れた場所にいながらでも店舗の進捗管理が可能となります。
この結果、必要な情報だけを届けることができ、タスク完了率は数字で分かるようになりました。
また、店舗スタッフは何をやるのか、だれがやるのかが一目で把握できるので、必要なコミュニケーションを効率よく取り作業に集中できるようになりました。
事例記事はこちら>>>ハンズが取り組む、本部と店舗の「情報共有」と「タスク管理」をスマホアプリで効率化する方法
【飲食】現場の業務DXからアルバイトまで行き届く情報共有を実現
厳選された新鮮なネタを提供することにこだわり、「回し寿司活」「寿司活」を運営する株式会社活美登利様。関東を中心に10店舗ほど展開しています。
美登利様では、本部と店舗間の情報をSNS上のグループを作って共有していました。ただ、店長や社員、アルバイトにいたるまで情報を共有するのが難しく、店舗でグループ共有してもプライベートの線引きやセキュリティ面の課題もありました。
さらに、経営理念の浸透もままならず、本部と店舗の接点が少ないことも感じられていました。そこで、美登利様ではIT化を進めるにあたり、TUNAGを導入しています。
本部から店舗へは入荷鮮魚情報や新メニューのおすすめポイントなどを発信し、店舗スタッフもお客様へセールストークがしやすくなっています。店舗からはレシピの試作や納品報告を行い、店舗が対応できているかが本部も把握可能です。
また、日々の清掃報告についてもアプリ上で完結し、成果が見えにくい業務にも社内ポイントが付くようになっています。導入後、店舗でのトラブル事例を全店に周知することもでき、なかなかシフトに入れないアルバイトスタッフにも情報が行き届くようになりました。
普段接点のないアルバイトスタッフもサンクスメッセージを送れるようになり、店舗と本部のコミュニケーションも取りやすくなっています。
事例記事はこちら>>>店長で止まっていた情報が、アルバイトまで行き届く。回転寿司店が現場DXを推進し、称賛文化の醸成に取り組む
【美容】店舗間のタイムリーな情報共有を促進
戦後間もない頃に開業され、愛知県名古屋市に拠点を構えて幅広い世代に支持されている株式会社ウインナー美容室様。
ウインナー美容室様ではプライベートのチャットツールを活用していたので、忙しいと埋もれてしまうだけでなく、トップからの一方通行の伝達になってしまうので、情報共有が上手くいかないことが課題でした。
美容業界で必要な情報をまとめられ、店舗を超えたコミュニケーションツールとしてTUNAGを導入しています。クレドや行動指針といった共通意識もTUNAGで認識しやすくなり、店舗の日報や教育のマニュアルも動画で簡単に全スタッフが確認できるようになっています。
業務的な情報共有から何気ないコミュニケーションも取りやすくなり、トップダウン形式だけではなく、店舗を越えてコミュニケーションによるつながりができています。
また、情報共有のスピードが上がり、従業員からもアイデアや意見が出やすくなったことで、モチベーションの向上にも役立っています。
事例記事はこちら>>>店舗が離れていても情報はタイムリーに共有、意見を出し合える環境を大切にする - ウインナー美容室のTUNAG活用事例
店舗運営の効率化を進める際に注意すること
店舗運営の効率化を進めるときには注意点があります。ツールは便利ですが、導入しすぎると逆に管理がずさんになってしまう恐れがあります。
慣れるまではしっかりと研修期間を設けるなど、準備を整えておきましょう。
また、店舗運営の効率化はすぐに効果が出るわけでもありません。新しい施策を導入したからといって、いきなり効果が倍増するとも限らないものです。
早く効果を出そうとして、業務フローやマニュアルをコロコロ変えると現場が混乱してしまいます。普段の品質が落ちてサービスの低下にもつながるため、注意が必要です。
まとめ
ここまで店舗運営の効率化について解説してきました。
店舗の課題は、業種や従業員規模などによって様々であり、それに適した施策の内容や効率の方法も変わってきます。
本記事で紹介した効率化の方法や施策をもとに、より従業員が働きやすい店舗づくりを目指してはいかがでしょうか。