社内DXとは?|社内DXの始め方から成功事例までを解説

デジタル化が進む現代社会では、企業の競争力を維持するために社内DX(デジタルトランスフォーメーション)が不可欠です。しかし、具体的に何をどのように実行すべきかは、多くの企業にとって未知の領域です。

この記事では、社内DXの意義、始め方、進め方、さらに成功事例まで詳しく説明します。これから社内DXを推進する企業や、既に取り組み始めているが更なる進展を望む方々への指針となることを目指します。デジタル化の波に乗り、企業のさらなる成長を目指しましょう。

社内DXとは?

社内DX(デジタルトランスフォーメーション)は企業が内部の業務プロセス、コミュニケーション方法、および情報管理をデジタル技術を活用して効率化する取り組みです。これにより業務の迅速化、コスト削減、および生産性向上を達成し企業の競争力を強化します。

社内DXとDXの違い

一般的に「DX」とは、デジタル技術を駆使して企業のビジネスモデルや市場戦略を変革することを指します。これに対し「社内DX」は、企業内部の業務プロセスやシステムをデジタル化し、より効率的かつ効果的に運用を改善することに特化しています。つまり、DXは外部顧客へのサービス改善や新規ビジネスの創出に焦点を当てるのに対して、社内DXは内部運営の最適化を目指す点が主な違いです。

社内DXが必要な背景

ここでは、社内DXが今日のビジネス環境でなぜ重要なのか、その必要性に関する背景を深く掘り下げます。

「2025年の崖」問題に対応するため

「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」で用いた表現です。このレポートでは、日本の企業が市場で生き残るためにDXの推進が必要であり、これを怠ると業務効率や競争力の低下、そして経済的な損失を招く可能性があると警告しています。具体的には、2025年から年間約12兆円の損失が予測されています。

この状況を避けるため、企業は社内DXを早急に進め、テクノロジーの進化に対応し、市場の変化に柔軟に対応する体制を整備することが重要です。

参照:経済産業省 DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(平成30年9月7日 デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会)

BCP対策を行うため

BCP(事業継続計画)は、自然災害や大規模なシステム障害など予期せぬ事態が発生した際に、企業活動を迅速に回復し、継続する計画です。災害や緊急事態が発生した際に、業務を迅速に復旧させるための事業継続計画が求められます。

社内DXを進めることで、クラウド技術の導入やリモートワークの可能な環境整備が進みます。これにより、どんな状況下でも業務が滞りなく行えるようになり、事業のリスクを大幅に軽減することが可能です。

働き方改革や人材不足に対応するため

デジタル技術を活用することで、リモートワークの促進や業務自動化が可能になり、従業員の働き方が柔軟になります。これにより、ワークライフバランスの改善が図られ、従業員の満足度が向上します。また、AIや機械学習を用いて業務の効率化を進めることで、限られた人員でも高い生産性を維持できるようになります。

こうしたDXの推進は、企業が人材不足の問題にも効果的に対応し、持続可能な成長を達成するための鍵となるでしょう。

インボイス制度に対応するため

2023年10月から導入されているインボイス制度は、消費税の適正な管理を目的としています。この制度に対応するため、企業は社内DXを進める必要があります。具体的には、請求書管理システムをデジタル化し、適格請求書発行事業者として登録するプロセスを自動化することが求められます。

これにより、正確かつ迅速に請求書を処理し、消費税の申告誤りを防ぐことが可能です。また、デジタル化は書類の追跡や保管が容易になり、経理業務の効率化にもつながります。インボイス制度への適応は、企業の透明性を高め、信頼性を向上させる効果も期待されます。

社内DXできる業務3選

社内DXの手法とその適用可能な業務を詳しく見ていきましょう。以下の3つの業務は、社内DXにより大幅な効率化が期待できます。

会議や商談

デジタルツールの導入により、会議の準備から実施、フォローアップまでがスムーズに進行することが可能です。

例えば、会議室予約システムを使用することで、必要な時に適切な会議室を簡単に見つけて予約でき、スケジュールの管理が一目でわかります。また、ペーパーレス会議システムにより、紙の資料を使わずにデジタルデバイスから直接資料を共有・閲覧でき、資料の準備や後片付けの手間が省けます。

タスク・プロジェクト管理ツールを活用することで、会議で決定された事項の進捗管理が容易になり、チーム全体の作業効率が向上可能です。さらに、議事録作成・管理ツールを用いることで、会議内容が自動的に記録され、必要な情報をいつでも確認できるようになります。

これらのツールを組み合わせることで、会議の生産性が大幅に向上し、結果的に企業全体の効率も高まります。

申請や書類の電子化

経費精算申請、稟議書、出張旅費申請などの社内申請書類のデジタル化は、業務の効率化に大きく寄与します。これらの申請書類をデジタル化することで、紙ベースの書類管理から脱却し、申請プロセスを迅速かつ正確に行うことが可能です。

デジタルシステムを通じて、従業員はいつでもどこからでも申請が可能となり、管理者もリアルタイムで申請状況を確認し、迅速に承認作業を行うことができます。また、申請データの自動集計や分析も容易になるため、経理部門の負担軽減と精度向上が図られます。このように、申請や書類の電子化は、時間とコストの節約だけでなく、組織全体の運営効率を向上させるための重要なステップです。

勤務管理

社内DXによる勤務管理の改革は、企業の効率を大きく向上させることが可能です。デジタルツールを用いることで、従業員の出勤、退勤、休憩時間などの勤務データを自動的に記録し、管理することが可能になります。これにより、紙やエクセルでの手作業による時間管理から脱却し、時間データの正確性が保たれ、処理速度が向上します。

さらに、勤務データをリアルタイムで把握できるため、労働時間の適正管理や、必要に応じた人員配置の最適化が容易になります。これは、人事部門の負担を減らし、従業員の働きやすい環境作りを支援する重要なステップです。

社内DXの進め方

さて、社内DXを進めるための具体的なステップを見ていきましょう。社内DXは一夜にして行うものではなく、計画的かつ段階的に進めることが重要です。以下に、成功に向けたアプローチの一例を提供します。

現在アナログで行われている業務をリストアップする

まずは企業内でまだ紙ベースや手作業で行われているプロセスを明確にします。例えば、手書きの勤怠記録、紙の伝票処理、物理的ファイルの保管などが該当します。これらの業務を洗い出すことにより、どのプロセスをデジタル化すれば効率が向上するか、どこにリソースを投入すれば良いかが可視化可能です。

リストアップされた業務は、その後のデジタル化の優先度付けや計画策定の基礎となり、効果的なDX推進のためのロードマップ作成に役立ちます。このステップは、無駄な業務を削減し、企業の生産性を最大化するための出発点です。

業務プロセスをDXする

社内DXを進める際、業務プロセスのデジタル化が重要となります。最小単位の業務プロセスから始めて、段階的にデジタル化を進めることが推奨されます。具体的には、小規模なプロジェクトや個別のタスクをデジタル化し、その成果を評価しながら規模を徐々に拡大していく形です。

この過程では、現場の従業員、経営者、システム担当者が緊密に連携し、実際の業務ニーズに適合したシステムを共同で構築します。これにより、実際の業務フローに即した効果的なデジタルトランスフォーメーションを実現でき、業務効率の向上とエラーの減少が期待できます。

ツールを使いこなすための社内教育を行う

社内DXを成功させるためには、新しいツールを使いこなすための社内教育が不可欠です。特に経営層が積極的に関与し、DXの重要性や目指す方向性を社内に発信することが重要です。具体的には、経営層が主導する形で定期的な研修やワークショップを実施し、従業員が新たに導入されたデジタルツールの操作方法や、そのツールを活用して業務効率をどのように向上させるかを学ぶ機会を提供します。

この教育プログラムにより、従業員は不安や戸惑いを解消し、新技術を自信を持って活用できるようになります。結果として、社内のデジタルトランスフォーメーションがスムーズに進み、持続可能な成長を支える強固な基盤が築かれます。

PDCAサイクルを回し、改善を行なう

社内DXを進める際、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)の実施は、継続的な改善と効果的な結果を達成する鍵です。まず「Plan」段階で具体的な目標と実行計画を立てます。次に「Do」で計画を実行し、新たに導入したデジタルツールやプロセスを運用します。「Check」段階では、実施した活動の結果とプロセスの効果を評価し、データを分析します。最後の「Act」では、得られた洞察を基に、改善策を施し次のサイクルへと移行する流れです。

このPDCAサイクルを定期的に回すことで、社内のデジタル化は着実に進化し、企業は常に最適な状態を維持できるようになります。このプロセスは、社内DXの成功に不可欠です。

社内DXの成功事例

ここでは、社内DXが成功した具体的な事例をいくつか紹介します。これらの事例は、社内DXの取り組みがどのように企業の業績向上や効率化に貢献しているかを具体的に示しています。

有給の申請時間が5分→30秒に90%減少(株式会社イーストン様事例)

株式会社イーストン様は、北海道を中心に飲食店を展開する企業です。従来、有給休暇の申請プロセスが紙ベースで時間がかかっていました。この問題を解決するために、一元化されたデジタルツール「TUNAG」を導入し、申請プロセスをデジタル化しています。

この変更により、有給休暇の申請時間が5分からわずか30秒に短縮され、申請プロセスの効率が90%向上しました。これにより、従業員の満足度が向上し、人事部の業務負担も大幅に軽減されたことで、全社的な生産性の向上が見られました。

参考:有給申請のペーパーレス化で約90%の時間削減:申請承認・チャット・掲示板を1つのアプリにまとめたイーストンの事例

ホールと調理場の壁がなくなり、店舗が一致団結した雰囲気に(株式会社木曽路様)

株式会社木曽路様は関東から九州まで約190店舗を展開する外食チェーンです。情報共有の困難さが課題として挙げられ、特に不規則なシフトにより全従業員への情報伝達が難しい状況でした。この課題に対応するため、木曽路は情報共有プラットフォーム「TUNAG」を導入しました。

これにより、ホールと調理場の情報の壁がなくなり、店舗間の一致団結が促進されました。情報がスムーズに流通するようになり、店舗の雰囲気や業績にも好影響が見られたとのことです。

参考:「不規則なシフトでも情報が行き渡る」木曽路が実践する、パート・アルバイトを含めた情報共有

業績に好影響、1店舗あたり月に150分の業務削減も(株式会社ピーアンドエム様)

株式会社ピーアンドエム様はレディースファッションとインポート寝具を展開する会社で、従業員約300名が在籍しています。同社では情報共有の不便さと帰属意識の希薄さを解決するために、「TUNAG」を導入しました。

このツールにより、1店舗あたり月に150分の業務削減と業績向上を実現しました。また、事業部間の情報共有が活発になり、店舗間のコミュニケーションも向上しました。

参考:情報共有から帰属意識の醸成まで、TUNAGに一本化:ピーアンドエムが挑むコミュニケーション改革

まとめ |社内DXを促進するには

成功への道は、組織全体での意識変革、適切なツールの導入、そして継続的な評価と改善が鍵です。また、社内DX化の補助金一覧も利用し、資金的な支援を活用することが推奨されます。

社内DXは、ただの技術導入ではなく、組織文化の変革でもあります。これを成功させるためには、全社員がデジタル変革の必要性を理解し、積極的に関与することが不可欠です。

社内DX化の補助金一覧

以下の表は、中小企業のデジタル化を支援するための主要な補助金と助成金をまとめたものです。

補助金・助成金名称

目的

ものづくり補助金

新製品開発や生産プロセス改善をサポート

IT導入補助金

業務改善のためのITソリューション導入を支援

事業再構築補助金

事業の大幅な変革やイノベーションを促進

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の持続可能性と向上を目的としています

キャリアアップ助成金

従業員のスキルアップと職場環境の改善に焦点を当てる

これらの補助金や助成金は、企業のデジタル化による競争力の強化と運営効率の向上を目的としています。

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