従業員エンゲージメントとは?課題や向上施策、TUNAGの導入事例を紹介
エンゲージメントの高い組織では離職率が大幅に改善し、生産性向上や顧客満足度の向上といった具体的な成果が確認されています。一方で、多くの企業ではエンゲージメントの向上に向けた取り組みが思うように進まず、課題を抱えているのが現状です。
本記事では、従業員エンゲージメントの基本概念から実践的な向上施策まで、人事担当者や経営層の方々が明日から活用できる具体的なノウハウを詳しく解説します。
従業員エンゲージメントとは
従業員エンゲージメントとは、「従業員が会社の目指す方向性(企業理念)に共感し、自発的に会社へ貢献したいと思う意欲」のことを指します。
言い換えると「従業員と会社間の信頼関係」と言えます。従業員と企業が互いに深い繋がりや信頼関係を持ち、貢献しているか」を表す指標として使われることが多くあります。
従業員エンゲージメントが近年注目されるようになった背景には、人材の流動化や個人の価値観の多様化、終身雇用採用企業の減少に代表される日本型雇用の変化などの働き方の多様化があると見られています。
少子高齢化で労働人口が減少していくなかで、企業の成長を止めないためには、優秀な人材の流出を防ぎ、定着化させる必要があります。そのために社内エンゲージメント・従業員エンゲージメントを高めることが注目されているのです。
ただ、エンゲージメントは企業にとって指標が異なる曖昧なものなので、自社にとって「エンゲージメントとは何かを定義することが重要です。
従業員満足度との違い
従業員満足度とエンゲージメントは、しばしば混同されがちですが、実は異なる概念です。
従業員満足度は、給与や福利厚生、職場環境などに対する満足の度合いを表します。一方、エンゲージメントは会社への愛着心や貢献意欲を示すものです。
例えば、給与や待遇に満足していても、会社の方向性に共感できなければエンゲージメントは低くなります。逆に、待遇面では物足りなさを感じていても、会社のビジョンに強く共感していればエンゲージメントは高くなるでしょう。
満足度が「現状への評価」であるのに対し、エンゲージメントは「未来への意欲」という点で大きく異なります。
▼関連記事:従業員満足度(ES)向上の事例6選!取り組みと施策も紹介
ロイヤリティとの違い
ロイヤリティとエンゲージメントも似ているようで異なる概念です。
ロイヤリティは、会社に対する忠誠心や帰属意識を表します。長年勤務している従業員や、会社の恩恵を受けている従業員に見られる傾向です。
しかし、ロイヤリティが高くても必ずしも積極的な行動につながるとは限りません。「転職活動がうまくいくかわからないから会社を辞めたくない」といった消極的な気持ちの場合もあるからです。
エンゲージメントは、より能動的で前向きな感情を含んでいます。会社の成功に向けて「自分も貢献したい」という積極的な意欲が特徴的です。
従業員エンゲージメントの3つの要素
従業員エンゲージメントは、主に3つの要素から構成されています。これらの要素をバランスよく高めることが、エンゲージメント向上の鍵となります。
理解度
理解度とは、従業員が会社の方針や目標、自分の役割を正しく理解している度合いです。
会社が目指す方向性や戦略を従業員が理解していなければ、適切な行動を取ることは困難でしょう。また、自分の仕事が会社全体にどのような影響を与えているかを理解することも重要です。
理解度を高めるためには、以下のような取り組みが効果的です。
- 経営方針の定期的な説明会:経営陣が直接従業員に向けて方針を説明する
- 部門目標の共有:各部署の目標と全社目標の関連性を明確にする
- 個人の役割明確化:一人ひとりの業務が組織に与える影響を伝える
理解度が高まることで、従業員は自分の行動に意味を見出し、より主体的に取り組むようになります。
帰属意識
帰属意識は、従業員が「この会社の一員である」という実感を持つことです。
帰属意識が高い従業員は、会社の成功を自分事として捉えます。また、同僚との連帯感も強く、チームワークの向上にもつながるでしょう。
帰属意識を醸成するための施策としては、以下のようなものがあります。
- 社内イベントの開催:懇親会や運動会などでコミュニケーションを促進
- チームビルディング研修:部署を超えた交流機会の提供
- 会社の歴史や価値観の共有:創業の理念や大切にしている価値観の浸透
帰属意識が高まると、従業員の離職率低下や組織への愛着心向上が期待できます。
行動意欲
行動意欲は、会社の目標達成に向けて積極的に行動しようとする気持ちです。
理解度と帰属意識が高まっても、実際の行動につながらなければエンゲージメントが高いとは言えません。従業員が自発的に改善提案をしたり、新しいアイデアを出したりする姿勢が重要です。
行動意欲を高めるための工夫としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 提案制度の導入:アイデアを出しやすい環境を整備
- 挑戦できる機会の提供:新しいプロジェクトへの参加機会を増やす
- 成果の見える化:努力の結果が実感できる仕組みづくり
行動意欲が高い従業員が増えることで、組織全体の活力と生産性が向上します。
従業員エンゲージメントを向上させるメリット
従業員エンゲージメントの向上は、企業にとって多くのメリットをもたらします。具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
優秀な人材の流出を防ぐ
エンゲージメントが高い従業員は、会社に対する愛着心が強いため離職率が低くなります。
優秀な人材の流出は、企業にとって大きな損失です。採用や教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、業務のノウハウも失われてしまいます。
エンゲージメントが高い職場では、従業員が「この会社で長く働きたい」と感じるため、人材の定着率が向上します。特に、専門性の高いポジションや管理職クラスの人材流出を防ぐ効果は大きいでしょう。
従業員エンゲージメント向上は、会社の雰囲気にもポジティブな影響を与え、優秀な人材の離職を防ぐ一つの要素となります。
売上向上、顧客満足度の向上
従業員エンゲージメントが高い人材は会社の指示に従って行動するのではなく、自発的に課題発見や解決に積極的に行動する事ができるため、結果として会社の売上貢献にも寄与する傾向にあります。
会社の成功を自分事として捉えているため、顧客対応においても真摯な姿勢で取り組みます。また、改善提案や新しいアイデアも積極的に出すため、サービス品質の向上にもつながるでしょう。結果として、顧客満足度の向上と売上増加が期待できます。
従業員同士の良好な関係性の構築
エンゲージメントが高い職場では、従業員同士の協力関係も良好になります。
共通の目標に向かって取り組む意識が強いため、部署を超えた連携も円滑に進みます。また、お互いの成功を祝う文化も生まれやすくなるでしょう。
その結果、メンバー同士が良い影響を及ぼし合い、さらなるエンゲージメント向上の好循環を生み出します。
採用コストの削減
エンゲージメントが高い職場は、採用活動においても大きなメリットがあります。
従業員が会社の魅力を自然に発信してくれるため、企業ブランディング効果が期待できます。また、リファラル採用(従業員紹介による採用)も活発になるでしょう。
その結果、採用にかかる時間とコストの大幅な削減が可能になります。
従業員エンゲージメントが低い職場の特徴
エンゲージメント向上のためには、まず現状の課題を正しく把握することが重要です。エンゲージメントが低い職場には、どのような特徴があるのでしょうか。
コミュニケーションの欠如
エンゲージメントが低い職場の最も大きな特徴は、コミュニケーションの不足です。
上司と部下、同僚同士の会話が業務連絡のみに限られてしまうと、組織への愛着心は育ちにくくなります。また、経営陣の考えが現場に伝わらないことで、従業員は会社の方向性を理解できません。
その結果、エンゲージメントは向上せず、パフォーマンスの低下や離職率向上といった問題を引き起こします。
評価基準が不透明
人事評価の基準が曖昧な職場では、従業員のモチベーション維持が困難になります。
何を基準に評価されているのか分からないと、従業員は努力の方向性を見失ってしまいます。また、公平性に疑問を感じることで、会社への信頼も失われるでしょう。
透明で公正な評価制度は、エンゲージメント向上の基盤となります。
従業員を育成する環境が整っていない
従業員の成長機会が限られている職場では、エンゲージメントが低下しやすくなります。
研修制度が充実していない、新しいスキルを学ぶ機会がない、キャリアアップの道筋が見えないといった状況では、従業員は将来への不安を感じてしまいます。
従業員の成長を支援する環境づくりは、エンゲージメント向上に欠かせません。
組織の理念や経営者の声が現場に届いていない
経営陣と現場の間に距離がある職場では、エンゲージメントが低くなりがちです。
会社の理念やビジョンが現場の従業員に伝わっていないと、日々の業務が単なる作業になってしまいます。また、経営者の思いや会社の将来性について理解が不足していると、長期的なコミットメントも生まれにくくなります。
そのため、経営陣の考えを現場に適切に伝える仕組みづくりが重要です。
従業員エンゲージメントを向上させる4つの施策
エンゲージメント向上のためには、具体的にどのような施策を実施すればよいのでしょうか。効果的な4つのアプローチをご紹介します。
経営理念、ビジョンを浸透させる
従業員エンゲージメントを高めるためには、企業としての理念やビジョンを明確にし、「顧客や社会に提供できる価値」を明らかにすることが不可欠です。
ただし、単に理念を掲示するだけでは十分ではありません。
Web社内報や、経営陣から自社が大切にしている価値観を共有するなどして、従業員一人一人がビジョンを自分の言葉で語れるよう継続して取り組みをすることが重要です。
そういった一連の流れが社内エンゲージメント向上につながります。
▼関連記事:理念浸透を促進するためのステップと成功事例を解説!
承認、称賛の文化をつくる
従業員が「個人として尊重されている」と感じる環境だと、自社への貢献意欲が一層高まります。上司が部下の頑張りを認め、信頼して権限を委譲することは、従業員エンゲージメントを高める重要なポイントです。
例えば、仕事を依頼する際には、「君の○○の実績や○○のスキルを信頼しているから任せるよ」といった期待の言葉をかけることで、従業員も働きがいを感じやすくなります。
さらに、従業員の頑張りを「称賛」することは、その自尊心を高め、さらなる貢献意欲につながります。
具体的には、社長賞やMVP、サンクスカードなど、頑張りを従業員一体となって称賛する場を設けることで、従業員のモチベーションを一層高めることができるでしょう。
▼関連記事:「褒める文化」で人材定着率が30%向上!ポイントは「みんなの前で褒める」こと
キャリアアップの機会を提供する
従業員の成長意欲に応える環境づくりは、エンゲージメント向上の重要な要素です。
スキルアップの機会や昇進の可能性が見えることで、従業員は長期的な視点で会社にコミットできるようになります。また、新しいチャレンジができる環境は、仕事へのやりがいも高めるでしょう。
キャリア開発支援を充実させることで、従業員は「会社が自分を大事にしてくれている」と感じます。
その結果、従業員の帰属意識も高まり、組織全体のエンゲージメントが向上することが期待できるでしょう。
従業員が納得する人事評価制度を設ける
公正で透明性の高い人事評価制度は、エンゲージメント向上に不可欠です。正当に評価されない職場だと、従業員は組織に貢献しようというモチベーションが湧きません。
評価基準が明確で、プロセスが透明であれば、従業員は納得感を持って働けます。また、適切なフィードバックにより、成長のための具体的な指針も得られるでしょう。
評価制度に対する信頼が高まることで、評価への納得度が上がり、従業員の仕事への積極性や意欲が高まります。
▼関連記事:形だけの評価は不満を招く?組織を成長させる鍵は評価制度を納得させる仕組み
まずはエンゲージメントサーベイで自社状況の把握を
エンゲージメント向上に取り組む前に、現状を正確に把握することが重要です。従業員が会社に対してどのような感情を抱いているのか、客観的なデータで確認しましょう。
無料でエンゲージメントサーベイを実施できる「TERAS」
エンゲージメントの現状把握には、専門的な調査ツールの活用が効果的です。
TERAS(テラス)は、従業員エンゲージメントを科学的に測定できる無料のサーベイツールです。半年に1回、たった5分の質問に答えるだけで、組織の現状を詳細に分析できます。
【TERASの主な特徴】
- 完全無料で利用可能:何回でも何人でもコストをかけずに本格的な調査が実施できる
- 手間をかけずに実施:ログイン不要で5分程度の回答時間、スマホにも対応
- 多角的な分析方法:エンゲージメントに影響する8つのカテゴリーで課題を特定
- 完全匿名性を確保:従業員の心理的安全性を保ち、本音の回答を引き出せる
- 具体的な改善提案:1000社以上の支援実績に基づく効果的な施策提案(※有料)
TERASは単なる診断ツールではなく、組織改善の施策まで明確にする実践的なサービスです。定期的にサーベイを実施することで、離職しそうな従業員の早期発見や施策の効果測定も可能になります。
TUNAG導入によるエンゲージメント向上した事例
実際の企業でのTUNAG(ツナグ)の導入事例を通じて、エンゲージメント向上の具体的な効果と成功のポイントを確認してみましょう。これらの事例は、様々な業界や規模の企業で実践され、確実な成果を上げている取り組みです。
ジェーシービー従業員組合:従業員の意見を吸い上げ、会社に伝える
3,000名以上の従業員を抱えるジェーシービー従業員組合様の従業員エンゲージメント向上に関する事例をご紹介いたします。
企業が進んでいる方向性を全従業員が知る機会を与える事から始めました。これまでのイントラやメールでは、閲覧できる環境や時間に制約があると感じており、営業などで外出が多い従業員への不平等感がありました。
そこでいつでも閲覧ができるスマホを利用したサービスを導入する事を従業員エンゲージメント向上のための第一歩として始めました。
その上で、会社が進んでいる方向性に対して、従業員からの意見を集約したり、世の中の動きに対してどのようなアプローチをしているかなどを明示する事で従業員エンゲージメントの向上にも寄与しました。
「約3,000名の組合員に対して平等に」ジェーシービー従業員組合が “情報を知る環境”を大切にする理由
拠点同士の横のつながりを作った|渡辺パイプ株式会社
渡辺パイプ株式会社では、全国約600拠点、従業員約6,000名という大規模組織において、拠点間の連携不足が大きな課題となっていました。
各拠点は十数名程度の小規模体制で、特に新入社員が組織の大きさを実感できず、横のつながりの希薄さに不安を感じるケースが多くありました。
TUNAG導入後は「SCリレーコラム」という独自の取り組みを開始しました。A拠点からB拠点へとリレー形式で各営業所長がコラムを執筆し、「サービスセンターの雰囲気を教えてください」「〇〇エースは誰ですか?」などの質問に答えながら、次の拠点にバトンを渡していく企画です。
この取り組みにより、従来は見えなかった他拠点の従業員の顔が見えるようになり、コミュニケーションが活性化しました。
また「TUNAG宝くじ」などのレクリエーション企画により、同期や拠点のランチメンバー、全国の事務員同士など、意外なつながりが可視化されています。
600拠点の従業員6,000名がつながる。コミュニケーション課題を解決した渡辺パイプの挑戦 | TUNAG(ツナグ)
社内交流の「広場」として活用|株式会社アサヒケーティー
株式会社アサヒケーティーでは、離れて働く従業員が多い中で、従業員同士のつながりを深める「広場」のような場所の必要性を感じていました。
そこで、TUNAGを導入し、コミュニケーションの活性化を図りました。
同社では毎週月曜日の「社長のつぶやき」で家族のことや読書で得たフレーズなど身近な話題を発信し、理念浸透を図っています。
また「ベストショット」では食べ物やペットなどプライベートな写真から仕事のイベントまで自由に投稿でき、誰でも参加しやすいコンテンツとして活用されています。
さらに行動規範に基づく「サンクスカード」制度により、業務でのどのような行動が企業理念に沿っているかを従業員が理解し、実践できる仕組みを構築しました。
TUNAGが「クッション」の役割を果たし、人となりがわかった上で業務の話ができるようになったことで、従業員の帰属意識向上と離職防止につながっています。
目指したのは「広場」のような交流の場。エンゲージメントを高め、従業員が働く意義を感じられる組織へ
エンゲージメント向上施策は目的を明確にするところから
従業員エンゲージメントの向上は、企業の持続的成長に欠かせない重要な取り組みです。しかし、単に施策を実行するだけでは効果は期待できません。
まず重要なのは、なぜエンゲージメント向上が必要なのか、どのような組織を目指すのかを明確にすることです。目的が曖昧なまま施策を実行しても、従業員には真意が伝わらず、期待した効果は得られないでしょう。
また、エンゲージメント向上は短期間で達成できるものではありません。経営陣のコミットメントと継続的な取り組みが不可欠です。
従業員一人ひとりが会社に愛着を持ち、主体的に行動する組織づくりは、決して簡単ではありません。しかし、適切なアプローチと継続的な努力により、必ず成果は現れます。
TUNAG(ツナグ)は、エンゲージメント向上の取り組みを包括的にサポートします。現状把握から施策実行、効果測定まで、一貫したソリューションを提供し、強い組織づくりを実現します。
まずは現状を正しく把握することから始めてみてはいかがでしょうか。従業員エンゲージメント向上への第一歩を、私たちと一緒に踏み出しませんか。